皮革用語詳細

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用語
にかわ(膠)、和こう(膠)* --にかわ わこう--
Animal glue, Gelatin
意味
工業用ゼラチン。動物の皮や裏筋(にべ)、骨などを煮て涌出したゼラチンを冷やして固めたものを指す。化学的にはコラーゲン分子の鎖が熱変性によってほどけたものである。自然冷却は冬場(ただし室内温度がマイナスになると粘性が減失する)にしか生じないため、関西地方の農閑余業として家内工業、手工業として続いてきた。
少量の生産の場合にかわを必要とする工房ごとに作られることもまれではない。マッチ軸頭用に代表されるように近代になって均質で安価、大量のにかわが必要となり、工場生産で年中作られるようになったにかわを洋こうといい、その対比で従来のものを和こうと呼ぶ。さらに1930年代後半になって食用ゼラチン、さらに40年代輸入が途絶して独力で開発が求められた写真用印画紙、フィルムなどの社会的要請からゼラチンの生産が生まれた。和こうと、洋こう、ゼラチンとの違いは精製による不純物の多寡に集約される。不純物の主成分はナトリウム、カリウム、リンで、これらは水分を保持する性質があり、製本や木工で硬化を遅延する役目をもつ。また岩絵具の定着には洋こうは適さず、タンパク質の鎖の長い和こうが適していることなど、両者は自ずと役割が異なる。その他、紙管等の接着材としての利用は合成樹脂接着材などの台頭により生産量は減少したが、古美術品の修復用、墨、製本や木工などの業種では幅広く使用されている。