もろおろし
- 読み方
- 英語
- 意味
- 小牛皮の鞣しをいう。正保期に刊行された『毛吹草』には山城、伊勢の名産品として上がっている。鞣製法は伝わらず、また後世の伝聞も知られない。中世ヨーロッパの鞣製法にあっても小牛皮や胎内牛の鞣しは特別な値打ちをもち、ヴェラムと呼ばれた。わが国でも成牛と比較すればきめの細かい柔軟な仕上がりとなったことは容易に想像される。中世の鞣しでは牛馬などの大型動物の鞣しは困難で専ら板目皮作りがなされていたにすぎない。そうした中で小牛皮の場合脱毛、裏打ちと加脂、もみ(揉み)を加えた原初的鞣しであったとしても一定の柔軟化が達成されたと考えられる。