和にかわ(膠)
- 読み方
- わこう わにかわ
- 英語
- 意味
- 皮とその屑などから熱水で抽出して得られる工業用ゼラチン。写真用ゼラチンや食用ゼラチンに比べて一般に不純物が多く、ゼラチンの分子量分布が広いものと考えられている。原料を大釜に入れて焚きだしゼラチン質を涌出する。これをフネと呼ぶ箱に汲み出し、北向きに設けた格子窓から外の冷気を入れて冷やし固める。固まったにかわを用途に応じた道具を用いてかき取り、すだれ(簾)に並べ天日干し、乾燥したにかわを袋詰めして出荷する。
涌出の方法も墨用は釜で沸騰させない温度、“三千本”は原料段階から石灰を入れて洗浄し、抽出後も過酸化水素を添加して漂白する。名称も地域によって若干異なる。播州では幅広の“大上”がマッチ用、その半分の広さの“京上”が墨用、一番細いものが“三千本”で接着用や日本画で岩絵具の定着に用いられる。奈良では墨用を晒(さらし)と呼称、大阪では汎用性の接着用を“晒膠”と呼んでいた。マッチ用にかわは混ざり気の少ない最上品が要求され“上透”<じょうすき>なるにかわが作られるようになった。