乳化加脂 | 皮革用語辞典

意味: 油脂に親水性基を導入したエマルションを用いる加脂。オイリングオフ（油引き*）やスタッフィングなどは動植物油脂をそのままで革に塗布するが、これらの油脂に硫酸化やスルホン化などの方法で親水性を持たせてエマルション化（乳化）し、ドラムなどを用いて浴とともに革中に浸透、分散させる。革繊維中に浸入したエマルション粒子はpHの変化や繊維と接触したときに、まず乳化破壊が起こり、界面活性成分が親水性の高い繊維と結合して整列する。その結果、親水性基を覆うことによって疎水化し、繊維表面において疎水性の中性油の定着場所を提供する。繊維表面で定着した中性油は繊維間の潤滑剤として働く。このため加脂剤のイオン性が加脂の進行に重要な因子となる。原則的に硫酸化油などの陰イオン加脂剤が多用されるが、鞣しの種類や製品革の用途により様々な動植物油や合成油を組み合わせて使用する。