陰イオン加脂剤
- 読み方
- いんイオンかしざい
- 英語
- Anionic fatliquor
- 意味
- 陰イオン性の活性剤と疎水性の中性油からなる乳化加脂液。陰イオン性油として、動植物油や合成油などの硫酸化油、スルホン化油、亜硫酸化油、リン酸化油などを使用した中性油を内包するエマルションであり、最も一般的な加脂剤である。
回転するドラム中で加脂剤を鞣し革とともに撹拌することによって、エマルションは革繊維内部に浸透する。加脂工程の後半において、酸の添加などによって革の組織内でエマルションが破壊されると、陰イオン性の界面活性成分(乳化剤)が革繊維表面の陽イオン性部分と結合する。そのために繊維表面は活性剤成分のアルキル鎖でおおわれてある程度疎水化されるので、疎水性の被乳化油成分(中性油)が繊維表面に沈着する場所を提供する。その結果、中性油の潤滑効果による繊維同士の滑りの向上、及び疎水化で繊維同士の密着が防止されて加脂効果が発揮される。通常、加脂液中の油剤成分はすべて革に吸収される。