灰汁鞣し
- 読み方
- あくなめし
- 英語
- 意味
- 江戸前期の百科全書『和漢三才図会』に記された独特の鞣し法。記された鞣製法が実際にわが国で行われていたのか、中国書の引き写しであるかは検証されていないが、記録に残る蹴まり(鞠)<けまり>の鹿皮の鞣し法や古態を示すとされる姫路白鞣し製法とも共通する部分があり、実施されていた可能性は小さくないと考えられている。
その方法は稲わら(藁)を燃した灰汁<あく>に米ぬか(糠)をまぜて温めた液で、皮の表面をよくもみ洗い、竹串で張ってさら(晒)し、乾くのを待って竹へらで肌肉をこそげ取るというものである。灰汁はアルカリとして脱毛効果を持ち、それにぬかを混ぜることで毛根発酵を促進させたと考えられる。また、米ぬかは鞣しの媒材として働き、米ぬか中の油分による加脂ともみを反復することで鞣し(実際は柔軟化)が進行することは姫路白鞣し法と共通する。