蹴まり(鞠)、毛まり(鞠)
- 読み方
- けまり
- 英語
- 意味
- 蹴玉の遊びは古代からあり、毛玉を跳躍して蹴るものだったらしい。『源氏物語』や『明月記』が蔑むような口調で書いているところからも、ごく野蛮な遊びだったらしい。それを貴族の遊戯にする努力が積み重ねられ「下﨟まりから上﨟まりへ」変身した。毛玉から蹴まり、裸足から鴨くつ(沓)が大きな指標になった。
蹴まりのまりは皮の持つ反発力に頼る独特の構造をしている。雌鹿の夏皮を最上とし、裏打ちを行い、毛付の表に塩とぬか(糠)を水で練った溶剤を塗布してしばらく置き、毛刈りをする。この皮を広げて直径1尺の円を描き2枚作る。4分(12.1 mm)間隔で1分5厘(4.5 mm)幅の切れ目をタガネで入れていく。別に幅4分5厘(13.6 mm)長さ直径の1.8倍の板目皮の馬皮を用意し、先の丸く切り抜いた鹿皮を袋状にして、空けた切れ目に馬皮を通してくく(括)っていく。8~9割方縫い合わせたところで中に大麦の粒を詰めて整形する。残りを縫い丸くなるように麦で調整し、布海苔<ふのり>、にかわ(膠)、胡粉<ごふん>を塗り、中の大麦を抜いて完成する。
≪蹴まり≫
写真提供:印傳博物館