皮革用語詳細

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用語
リン酸化染料 --りんさんかせんりょう--
Phosphonated dye
意味
リン酸基を分子中に持つ染料の総称。皮革の鞣しに使用したクロムジルコニウムなどと配位結合で結合するために、反応染料に匹敵する堅ろうな染色が可能である。革繊維に結合したクロムのうち架橋に関与するものは総結合量の約10%弱で少ない。ほとんどのクロムは2つある結合手のうち1つしか使用せずに革と結合している。残り1つの結合手に染料分子中のリン酸基が結合する。このため、皮革の染色方法で最も一般的な酸性染料と同様の染色方法(50℃、弱酸性浴)で染色が可能で、濃色染めも可能である。一方、コラーゲン繊維表面でイオン結合や物理的吸着など弱く結合したリン酸化染料が存在し、染色堅ろう性が低下する。これらを取り除くために、反応染料の染色の場合と同様にソーピングが必要である。そのほか、充填性の鞣し剤、例えば植物タンニンや合成タンニンなどは、染料の結合場所であるクロムを封鎖するためこれらで処理された後で染色すると、リン酸化染料は酸性染料と同様に染着するために大幅に堅ろう性が低下する。この染料の特徴として、染色廃液中に残留する染料は、鉄、アルミニウムイオンやカルシウムのような金属イオンを添加することによって容易に沈殿し、廃液から除かれる。染料の製造コストが高いのが難点である。