クロム鞣し
- 読み方
- クロムなめし
- 英語
- Chrome tanning, Chrome tannage
- 意味
- 3価のクロム錯体による皮の鞣し方法。準備工程の終わった皮をピックリングした後、塩基性硫酸クロム鞣剤で鞣す一浴法が行われている。ドラムやハイドプロセッサー(コンクリートミキサーと似た形の容器)に皮と鞣し液を入れ、6~8時間回転し、24時間以内で鞣しを終了するが、鞣し液の組成(鞣剤濃度、pH、塩基度、塩濃度、マスキング剤など)と温度、ドラムの回転数、浴比などによって鞣し時間は異なる。
このとき、クロムは様々な状態でコラーゲン線維間あるいは線維内で架橋結合をしてコラーゲン繊維を強化する。しかし、2点で結合した架橋に関与しているクロムは総結合クロムの約10%とされ、残りのクロムは1点でコラーゲンと結合している。この後、合成タンニン、植物タンニンによる再鞣しを行うことが多い。
クロム鞣しは鞣し時間が短く経済性に優れ、製品革は柔軟で保存性、耐熱性、染色性が良いので、甲革、袋物用革、衣料用革などの用途に最も広く行われている鞣し法である。
下図は一例として、コラーゲン繊維のカルボキシル基に二個のクロム錯体が架橋結合したとき及びコラーゲン分子間の架橋模式図である。
≪クロム鞣剤による架橋構造の一例≫
- 関連リンク
- pH酸漬け