ゼラチン
- 読み方
- 英語
- Gelatin(Gelatine)
- 意味
- ゼラチンは、動物の真皮、骨、軟骨はじめ各種臓器の結合組織を構成しているコラーゲンタンパク質が、加熱などにより変性されて生成したものである。ゼラチンは、熱可逆的なゾル-ゲル変換能、粘性、製膜性、接着性、気泡性、乳化安定性、保護コロイド性、保水性など優れた特性を有する。特にゾル-ゲル変換は重要で、加熱、冷却によって、ゼラチン溶液がゾルからゲル、ゲルからゾルに相変化し、しかもこのゾル-ゲル変化を常温に近い温度で可逆的に行える。粘着性や保護コロイド物質としての能力、ほかの高分子物質との相溶性が大であり、食品用安定剤、ゼリー、微生物用の培地、写真乳剤、カプセル剤、接着剤、結合剤など広い用途を持つ。日本画の画材や工芸品などに接着剤として使用されているにかわ(膠)はゼラチンとして精製度の低いものである。最近はゼラチンを加水分解し、ゲル化しないものをコラーゲン加水分解物(ゼラチン加水分解物)と称し、健康補助食品などで利用されている。
和膠<わこう>に較べて洋膠は純度が高いが、写真用印画紙やフィルム、食用とするためにはさらに純度を上げることが必要であった。食用ゼラチンは近代に西欧の食文化が伝えられて知られるようになるが、日本には古くから寒天や葛粉などの凝固添加物が用いられてきたこともあり、食用となるゼラチン精製が誕生したのは1930年代中頃だといわれる。