コラーゲン
- 読み方
- 英語
- Collagen
- 意味
- 1)分布
こう(膠)原線維を構成するタンパク質。原料皮中の主要成分であり、鞣し剤が結合して革となる製革上重要な成分である。真皮、骨、歯、腱、血管、腸管、筋肉などの動物の各組織に分布しており、脊椎動物では生体内で最も多いタンパク質である。
2)アミノ酸組成
アミノ酸組成の特徴は、グリシン、アラニン、プロリン、ヒドロキシプロリンなどが多く、含硫アミノ酸はほとんど存在しない。ヒドロキシプロリンはコラーゲンで多く、ほかのタンパク質には含有されていることが少ないので、このアミノ酸の定量がコラーゲン量の測定に役立つ。グリシンが約1/3を占める。一次構造をみると、-Gly-X-Y-のように三つ目ごとにグリシン残基 が存在し、Xにプロリン、Yにアラニン、又はヒドロキシプロリンがくることが多い。
3)分子構造と化学的性質
コラーゲン分子は分子量約10万のペプチド鎖(α鎖)を3本たばねて右にねじった形で、鎖間に多数の水素結合を形成し、分子量約30万の構造単位を作る。この分子が規則的に集合し、分子間に架橋が形成され、細線維、線維、線維束が作られる。動物の種類、組織部位によりα鎖が遺伝子的に異なり、種々のコラーゲンが存在する。細胞から分泌されたコラーゲンは、中性塩可溶性コラーゲン、酸可溶性コラーゲンであるが、その後に架橋が形成される。そのため真皮のコラーゲンは大部分が不溶性であり、タンパク質分解酵素やアルカリ溶液でないと多くは抽出されない。未変性のコラーゲンは普通のプロテアーゼに対して抵抗性を有するが、ひどくアルカリ変性を受けたコラーゲン、あるいはコラーゲンが熱変性したゼラチンはコラゲナーゼ以外のタンパク質分解酵素による分解を受ける。
生体内のコラーゲンの等電点はpH 9.0前後であるが、脱毛などのアルカリ処理で酸性側に移動する。コラーゲン線維は水中で膨潤する性質があり、そのとき強電解質の酸やアルカリが共存すると膨潤が著しい。これらの酸やアルカリによる膨潤は線維軸に直角方向に起こり、線維軸方向はむしろ短縮する。石灰漬けなどのアルカリ処理及び鞣しにより、コラーゲンの性質は大きく変化する。
コラーゲン、ゼラチン、コラーゲンペプチドをいずれも単にコラーゲンと呼ぶことが多い。
- 関連リンク
- コラーゲンの構造