脳しょう(漿)鞣し
- 読み方
- のうしょうなめし
- 英語
- Brain tannage
- 意味
- 鹿皮の上毛のみならず銀面層まで除去し、一年ほど熟成させた動物の脳しょうを塗布あるいは湯に溶かした液へ漬け込み、さらにもみと乾燥を繰り返す鞣製法を指す。昭和40年代の中頃までこの鞣しが行われた。印伝革で指摘されている通り銀面を除去しない鞣しもあり、さらに除去方法(せん(剪)刀、鋸刃など)及び除去した後の皮面の処理方法(焼きごて(鏝)、ブラシ掛け、サンドペーパーなど)によって質感の異なる仕上げとなる。姫路白鞣しとならんで10世紀前半の『延喜式』にともに概要が記されており、歴史的に古い鞣し法である。脳しょう鞣し革の持つ柔軟性は、脳しょう成分であるリン脂質や鹿革線維の特性とへら掛けによって生じる線維束が解かれた状態が作り出すものである。一般には脳しょう鞣し革を白革<しらかわ>という。この白革は、さらにくん(燻)煙鞣し(現在、加工上の実際の目的は着色である)が行われ、加工前の印伝革となり、漆加工や縫製等をして印伝となる。