印伝革
- 読み方
- いんでんがわ
- 英語
- Inden leather
- 意味
- 寛永年間(1624~1643年)鎖国下でオランダより幕府に献上された装飾革にインド(オランダ語表記 indien)産鞣し革が用いられていたとされ、その装飾革を国産化されたものを印伝と呼んだことによる。輸入皮革を国産模倣することは金唐革<きんからかわ>などにも例がある。京都の地誌『京羽二重』1685年(貞享2年)に土産物として「印伝」の名前があがるように各地で製造された。1781年(天明元年)刀剣装具の鑑定のための便覧書として大坂で刊行された『装劍奇賞』には「アマカハインデイア、テナガインデイア、七宝インデイア」などが図示されている。最も有名なのは甲州印伝であり、近年奈良印伝(奈良県宇陀地方)も製作されている。財布、ハンドバッグなどに加工される。
このように印伝は江戸時代(1603~1868年)の呼称であるが、①鹿皮を原料とし②脳漿<のうしょう>鞣しを施し③漆を模様の型紙を使って柄付けする革と考えると、①②の条件を満たす革は『日本書紀』(720年完成)『延喜式』(967年施行)の頃から作られていたといえる。
1970年頃まで脳しょう(漿)鞣しが和歌山や奈良で行われたが、現在では脳しょうは用いられず、ホルムアルデヒドと油によるコンビネーション鞣しで、漆型紙と燻べ<ふすべ>が併用されるのが主流となっており、伝統的なものとともにファッション製品にも使われている。
- 関連リンク
- 印伝